さて、くだらない話をひとつ。

東京で就職してからしばらくたった頃、もう20年以上も前の話。
田舎で食べていたうどんが無性に恋しくなって、うどん屋さんを探してふらふらと東京の街を歩いた。田舎のうどんはいわゆる「さぬきうどん」。出汁がしっかりきいていて、駅の構内で食べようが、連絡船の中で食べようが、そんなにはずれはない。
やっと見つけた店に入る。
天ぷらうどんにしよう!イェーイ!

が、しかし・・・、ここでしばし考える。
「天ぷらうどんください。」という長い文章をしゃべると絶対に方言がばれる。(今になって思うとばれたって全然かまわないんだけど。自意識過剰(*^_^*))
京都に4年間いて京都弁と大阪弁はマスターした。
「いない」→「いーひん」、しない→「しーひん」そう、い段活用すればいいわけで、
大阪弁は「おれへん」「せーへん」え段活用すればよし。
でもここは東京。
まだ来たばっかりで、うまくしゃべれない。
四国の人は大阪人みたいに大阪弁を押し通すことはない・・・。
「天ぷらうどん!」ヘイ!

っという感じで手を挙げて伝えてみる。
または、
「すいません!」と店員さんに来てもらってお品書きの天ぷらうどんを

指さす。
または、・・・
うーん、どれも、うまくできそうにない。
そうだ!略せばいいんだっ!「すいません」、と、「ください」、は省略するとして、「天ぷらうどん」をどう省略するか・・・
アッ!「てんどん」かぁ、そうだそうだ、「てんどん」ってよく聞く言葉だし。
「てん(ぷら う)どん」
よしっ!これで行こう!
すいません、という代わりに、ふいっと手を挙げて店員さんを呼ぶ。
そして、わたしは、禁断の「てんどん」という言葉を使った。
よし、よし。あとは、お待ちかねぇ、の天ぷらうどんを待つだけ。
わくわく・・・


ふわぁ)^o^(
「おまたせしましたー!」という言葉とともに運ばれてきたのは、「てんどん」ならぬ「天丼]

「私が食べたかったのは天ぷらうどんで、天丼じゃない!」うっ、うっ・・・こんなむつごいもの(←くどいもの)食べたいんじゃなくて、私が食べたかったのは、食べたかったのは・・・天ぷらうっ・・・うどん・・・誰がいったい???
ただのあほやん・・・

そう、「てんどん」は「天丼」
「天ぷらうどん」は「天ぷらうどん」
これ以上略せません。
むやみに言葉を略するのはやめましょう。
無理してカッコつけるのもやめましょう。

(けろ)